Jaworowski特集
元気候変動問題評論家 はれほれ
注:ここに述べていることは管理人の語学力の限界などによって誤りがあるかもしれません。興味をもたれた方は原著をお読みくださることをお勧めします。
はじめに
温暖化盲信派はもとより温暖化に慎重な見方をしている私のような人間までもが「正しい」と信じてきた過去の大気中のCO2やCH4濃度の変遷の図が誤っているのではないか?という提案が10年以上も前にJaworowskiによってなされていました。つまり「産業革命前の二酸化炭素濃度は280ppmv程度で現在より低かった」とか、「氷期−間氷期サイクルに一致して温室効果ガスが変動しているとか」この気候変動問題のもっとも根幹に当たる部分に疑問があるというのです。つまり我々の立っている基盤がすでに間違っているいるかもしれないということです。まず、ここをきちんとしないと何事も砂上の楼閣となってしまいます。それでいささかリンク集サイトとしては掟破りになりますがこの問題を取り上げることにしました。
Jaworowskiの主張
最初の論文は1992年のThe Science of the Total Environment誌のものと思われます。インターネット上では見つけることができなかったのでこのJaworowskiに批判的なサイトから一部の表だけでも引用します。この表を見ると一目瞭然、産業革命前のCO2濃度が安定して低値を示すレポートが出始めたのは1985年頃からで、それまではJaworowskiが述べているように高値から低値までさまざまな値が報告されていることがわかります。


次に1994年のESPR誌に掲載されたAncient Atmosphere-Validity of Ice Recordsです。ここでJaworowskiは現在のアイスコアの研究では一般的に次の三つの仮定が用いられていると述べています。
1.氷床中に取り込まれる大気は機械的過程で取り込まれて後に分留(fractionation)が起こらない。
2.もともとの大気の化学的、同位体組成はそのまま保存される。
3.封入された気体はその周囲の氷より90年から2800年若い。(!)
しかしこれらの仮定はどれも証明されているわけではないとのことです。
Jaworowskiは空気が氷に封入されたあとのfractionation(混合気体がその種類によって分かれること;管理人注)は次のような原因で起こると述べています。
1.気体の種類による水に対する溶解度の違い(温室効果ガスはN2やO2に比べて溶けやすい)
2.化学反応
3.クラスレートの形成(温室効果ガスはN2やO2に比べて浅いところからクラスレートを形成する)
4.重力や温度による効果
また掘削に伴って圧力が大きく変化することによって
1.CO2の水に対する溶解度が変化する。
2.液体の海水の体積が変化する。
3.クラスレートの形成と解離
これらはすべて封入された気体に劇的な変化を及ぼすとのことです。温室効果ガスはN2やO2より低い圧力でクラスレートを形成するのでアイスコア中の温室効果ガスは低くなるそうです。これがアイスコアの温室効果ガスが低くでる原因であると述べています。
掘削時には機械的な負荷や温度の違いあるいは急激な減圧によりアイスコアに割れ目ができます。これもアイスコアから得られた気体の濃度の信頼性が劣る原因とされています。すべての深い場所から得られたアイスコアには重金属による汚染が中心部まで見らるのがそのひとつの証拠です。
万年雪の中では自由に大気が交通でき雪が氷になって初めて閉じ込められるという理由で再現されたガスの年代が周囲の氷より若く見積もられ、近年の大気の測定データとうまく合うように操作する"age
correction"が確かな根拠もなく行われているそうです。これには以下の3つの条件が必要と考えられます。
1.40-120mの深さにわたって空気の通行を妨げる層がない。
2.年平均気温-24℃のグリーンランドや南極でそのような場所が存在する。
3.夏に雪が溶けることがない。
これらの条件はすべて支持されず年平均気温-57度のところでも夏に溶解が起こり氷の層(氷の層は気体を通さない)が何層も数十kmにわたって広がっているとのことです。結局大気の測定データとうまくあわせてman-made
increase of green house gasesという予断によって科学的な検証がなされることなく"age
correction"が行われているとのことです。
Hans Oeschgerの反論
これに対して1995年のESPR誌にOeschgerがletterという形で反論をしています。詳細はぜひ皆様個々人で読まれてください。管理人が見たところ、Jaworowskiが彼の論拠についてきちんと根拠となる論文を引用して疑義を呈しているのに対してOeschgerはいささか感情的になっており科学的な反論とは程遠い印象です。数少ない科学的な論証をあげれば、Jaworowskiがいう「二酸化炭素が70mの深さでクラスレートを形成する」という事実は間違いである。また「"age
correction"に関しては重力によるfractionationや重い同位体による研究で確かめられている」(具体的な論文引用はなし)というコメントくらいです。逆にJaworowskiが提示した"age
correction"をしていない図に対して「それでは19世紀中ごろに急激に大気中のCO2やCH4濃度が上昇したのはなぜか?」と開き直っています。Jaworowskiは「クラスレートを形成していない浅い場所では掘削時の減圧によって膨張が起こらないから割れ目ができにくいので測定値が低くはならない」と言っているだけなんだけど・・・・・。
Oeschgerは現在は技術が進歩して特別な装置も開発されておりJaworowskiが指摘した「汚染」の問題などは解決されているとしているようです。でも具体的なデータや論文の引用の提示はありません。「大丈夫、私を信じなさい」というだけなら簡単です。これはもう科学ではなく宗教の世界になります。あとはOeschgerはこの気候変動がいかに重要で緊急性がある問題であるか、それにはこのアイスコアの研究がいかに重要であるかということを繰り返し述べているだけです。実際のところOeschgerはあまりJaworowskiの論文をを相手にしたくなかったようで「大御所の俺様がなんでこんな野郎を相手にしなきゃならんのだ」という気持ちがこのletterの随所にみられます。今まで自分がやってきたことをすべて否定されるような指摘ですから気持ちはわかりますが、scienceならきちんと反論するべきだと思います。
最後にJaworowskiの論文は一読しただけでは明らかな誤りは指摘できず、一蹴されるようなものではないように思います。今後は引用論文や反対論文などを吟味してどちらに賛同するのかを決める必要があります。ただ管理人はそのような論文が手に入る立場にはなくこれ以上の資料の収集は困難な状況です。現時点での印象としてはあのCO2濃度の変遷図を見たときに感じた「なぜ産業革命前から二酸化炭素濃度が上昇し始めているのか」また炭素循環の図を見たときの「地球全体の炭素循環からみれば自然の揺らぎに内包されてしまうような人類起源のCO2がなぜ過剰な負荷となっているのか」という二つの疑問の答えが見つかった気がしています。しかしここにお出でくださった方はどうか自分自身の判断で定説を信じるのかJaworowskiを信じるのかお決めくださるよう切にお願いします。管理人は専門的な研究者でもなくアイスコアの掘削に従事した経験もなくこれ以上の正誤の判断はできません。自分の立っている場所が正しいのかどうかもわからなくなりましたのでこの気候変動問題からは撤退することにしました。もしかしたら我々はいまだに「納豆を食べてダイエットを効率的にするにはどうしたらいいか」を真剣に議論しているのかもしれません。(2007年2月27日、翌28日一部改変)
地球温暖化に関するひと味ちがうリンク集へもどる